ABPM の新臨床診断基準(本邦)
10項目のうち6項目以上でアレルギー性気管支肺真菌症(ABPM)と診断する、日本の基準
あと 10 項目
基準
- 1. 喘息の既往・喘息様症状
- 2. 末梢血好酸球数 500/μL 以上
- 3. 血清総 IgE 417 IU/mL 以上
- 4. 糸状菌への即時型皮膚反応・特異的 IgE 陽性
- 5. 糸状菌への沈降抗体・特異的 IgG 陽性
- 6. 喀痰・気管支洗浄液の糸状菌培養陽性
- 7. 粘液栓内の糸状菌染色陽性
- 8. CT の中枢性気管支拡張
- 9. 粘液栓の喀出の既往、または CT・気管支鏡で中枢気管支内の粘液栓
- 10. CT の高吸収粘液
注意
- 嚢胞性線維症のない人の基準(論文の表題)。嚢胞性線維症のある人では検証されていない
- 項目 4・5・6 は、同じ属の糸状菌について陽性のものだけを合わせて数える。例: アスペルギルス・フミガータスの特異的 IgE と沈降抗体が陽性で、培養ではペニシリウム属が見つかったときは、2項目の陽性と数える(手引きの解説)
- 粘液栓の菌糸の染色(項目 7)は、粘液栓の検体と病理の検査が要る。検体のない症例では、項目 7 を除く9項目(1〜6・8〜10)で見るのが現実的で、合計6項目以上なら追加の検査なしに診断が確かめられる。5項目のときは、気管支鏡で粘液栓を採って確かめることを勧めている(論文の考察)
- 好酸球数と総 IgE は、診断時か最近のピークの値を使う。すでに喘息に副腎皮質ステロイド薬が使われているときは、好酸球数の評価が難しい(手引きの解説)
- 総 IgE の線は 417 IU/mL。ISHAM の2013年の基準は 1000 IU/mL 以上だが、東アジアの ABPA でこの線を使うと偽陰性が 19〜50% と高いので、この基準は Rosenberg らの基準と同じ 417 IU/mL を採った(手引きの解説)。特異的 IgE は 0.35 UA/mL 以上で陽性とする
- 酵母様真菌(カンジダなど)に対する特異的 IgE は、ABPM の診断に使わない(手引きの解説)
- 論文の検討では、病理で確かめた ABPM 79例と、対照の疾患(菌糸のない粘液栓・慢性好酸球性肺炎・アスペルギルス感作のある重症喘息・慢性肺アスペルギルス症)を比べた。6項目以上(診断)の感度は 89.9%、特異度は 96.0%。5項目以上の感度は 96.2%、特異度は 87.4%(論文の結果)。日本の症例だけの検討で、好酸球数や IgE などの線は既存の基準から借りた暫定の値と論文は書いている
出典
- Asano K, Hebisawa A, Ishiguro T, Takayanagi N, Nakamura Y, Suzuki J, Okada N, Tanaka J, Fukutomi Y, Ueki S, Fukunaga K, Konno S, Matsuse H, Kamei K, Taniguchi M, Shimoda T, Oguma T; Japan ABPM Research Program. New clinical diagnostic criteria for allergic bronchopulmonary aspergillosis/mycosis and its validation. J Allergy Clin Immunol. 2021;147(4):1261-1268.e5.(TABLE I(p.1263)、Methods の Clinical diagnostic criteria for ABPM、Results の ROC curve analysis、Discussion) PMID: 32920094、DOI: 10.1016/j.jaci.2020.08.029、https://aspergillosis.org/wp-content/uploads/2023/04/PIIS0091674920312409.pdf[原著]
- 浅野浩一郎. ガイドラインのワンポイント解説 アレルギー性気管支肺真菌症の診療の手引き. アレルギー. 2020;69(3):164-168.(表1、診断の B) 新しい ABPM 臨床診断基準(1)〜10) の解説)) https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/69/3/69_164/_pdf[解説・総説]
確認日: 2026-10-15
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