Baxter の公式(Parkland 公式)
熱傷の初期輸液の量(受傷後24時間)を、体重と熱傷面積から見積もる
受傷後24時間の総輸液量 あと 2 項目
最初の8時間(受傷後0〜8時間)の量 あと 2 項目
次の16時間(受傷後8〜24時間)の量 あと 2 項目
最初の8時間の速度 あと 2 項目
次の16時間の速度 あと 2 項目
計算式
- 受傷後24時間の総輸液量(mL)= 4 × 体重(kg)× 熱傷面積(%TBSA)
- 最初の8時間(受傷後0〜8時間)に総量の半分、次の16時間(受傷後8〜24時間)に残りの半分を投与する
- 時間あたりの量(mL/h)= 半量 ÷ 8(最初の8時間)、半量 ÷ 16(次の16時間)。この割り算は、半量を各時間に等しく振り分けたもの
注意
- 24時間と8時間は、受傷後の時間で数える。この計算は、総量と前半・後半の量と速度を式どおりに出すだけで、受傷から輸液を始めるまでの時間は反映しない
- 係数 4 mL/kg/%TBSA は、Baxter らの実験と観察で得られた値。その後の1,787例の観察では、尿量と意識レベルを指標に乳酸リンゲル液を投与した結果、受傷後24時間の輸液量は、成人の70%が 3.7〜4.3 mL/kg/%TBSA の範囲で、12%はそれより多く、18%は少なかった。12歳以下では98%が 3.7〜4.3 の範囲だった
- 現在の指針は、乳酸リンゲル液 2〜4 mL/kg/%TBSA を受傷後24時間で投与するのが一般的で、その半分を最初の8時間で投与する速度を初期輸液の速度とするとしている。この計算は 4 mL(Baxter の係数)で出す。計算で出る量は初期の見積もりで、尿量や循環動態を見ながら調整する
- 尿量の目安は、成人で 0.5 mL/kg/時以上、体重30 kg 以下の小児で 1.0 mL/kg/時、30 kg を超える小児で 0.5 mL/kg/時以上(資料により少しずつ違う)。過剰にも過小にもならないよう、尿量や血行動態を見て速度を調整する
- 輸液が必要な熱傷の面積は、成人で 20%TBSA 以上、小児で 10%TBSA 以上とされる(成人 15% 以上とする資料もある)。それ以下でも、全身状態を見て初期輸液を始めてよい
- 近年、Parkland の 4 mL/kg/%TBSA を超える輸液量を要したという報告が多い。多すぎる輸液は、浮腫の増強や、四肢・腹部のコンパートメント症候群と関連し、"fluid creep" と呼ばれる。4 mL/kg/%TBSA を超えて電解質輸液を増やしても、前負荷や心拍出量は改善しなかった(ランダム化比較試験、50例)
- 小児(14歳未満あるいは体重40 kg 未満)は、体重から計算される量より多くの輸液を要する。小児では維持輸液を併用する資料があり、その量は資料で違う。この計算に維持輸液は含まない
- 気道熱傷を合併すると、合併しない場合より多くの輸液を要する。高電圧電撃傷でミオグロビン尿・ヘモグロビン尿が出たときは、尿が透明になるまで通常より多い尿量を保つ。計算の量は、これらの場合の量を示さない
- 初期輸液には、ほぼ等張の電解質輸液(乳酸リンゲル液など)を使うのが標準的。生理食塩水を大量に使うと、高ナトリウム血症や代謝性アシドーシスを起こすため、避けるべきとされる
出典
- Baxter CR, Shires T. Physiological response to crystalloid resuscitation of severe burns. Ann N Y Acad Sci. 1968;150(3):874-894.(論文全体)(原典未見) DOI: 10.1111/j.1749-6632.1968.tb14738.x[原著]
- 日本熱傷学会. 熱傷診療ガイドライン〔改訂第2版〕. 2015.(Ⅲ 初期輸液 推奨3とエビデンス(pp.36〜37)、一般的な初期輸液の方法の表(p.40)、初期輸液の必要性(p.29)) http://www.jsbi-burn.org/members/guideline/pdf/guideline2.pdf[ガイドライン]
- 創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン策定委員会(熱傷グループ). 創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン(2023)―6 熱傷診療ガイドライン(第3版). 日皮会誌. 2024;134(3):509-557.(解説2 全身管理1:輸液療法(pp.526〜529)) https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/nessho2023.pdf[ガイドライン]
- 吉野雄一郎, ほか. 創傷・熱傷ガイドライン委員会報告―6:熱傷診療ガイドライン. 日皮会誌. 2011;121(14):3279-3306.(表8(p.3290)) https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/1380006822_3.pdf[ガイドライン]
- 時間あたりの量: 半量(mL)を各時間に等しく振り分ける。半量 ÷ 8(最初の8時間)、半量 ÷ 16(次の16時間)[式の導き方]
確認日: 2026-10-14
免責
この計算は医療者の判断を補助するためのものです。結果は参考情報であり、診断・治療の判断は担当の医療者が行ってください。入力した値は端末の外に送りません。