動脈血液ガス分析(AG・代償の予測・Δ-Δ・A-aDO₂)
電解質と血液ガスの値から、AG・補正 AG・予測される代償・ΔAG−Δ[HCO3⁻]・A-aDO₂ を出す
AG あと 3 項目
補正 AG(アルブミン補正) あと 5 項目
予測 PaCO2(代謝性アシドーシスの場合。±2 Torr) あと 1 項目
予測 PaCO2(代謝性アルカローシスの場合。±2 Torr) あと 1 項目
HCO3⁻ の変化の予測(急性の呼吸性アシドーシスの場合) あと 1 項目
HCO3⁻ の変化の予測(急性の呼吸性アルカローシスの場合) あと 1 項目
HCO3⁻ の変化の予測(慢性の呼吸性の異常の場合。4 mEq/L で計算) あと 1 項目
HCO3⁻ の変化の予測(慢性の呼吸性の異常の場合。5 mEq/L で計算) あと 1 項目
ΔAG − Δ[HCO3⁻](ケトアシドーシスの場合) あと 5 項目
0.6 × ΔAG − Δ[HCO3⁻](乳酸アシドーシスの場合) あと 5 項目
A-aDO₂ あと 3 項目
計算式
- AG(mEq/L)= Na − Cl − HCO3⁻。補正 AG = AG + 2.5 ×(基準のアルブミン − 測定したアルブミン)。アルブミン 1 g/dL の低下につき 2.3〜2.5 mEq/L 高く補正する(図では 2.5)
- 代謝性アシドーシスの代償(予測 PaCO2)= 1.5 × HCO3⁻ + 8(±2 Torr)。ほかに HCO3⁻ + 15 の簡便式がある(HCO3⁻ のどの濃度でも当てはまるとは限らない)
- 代謝性アルカローシスの代償(予測 PaCO2)= 0.7 ×(HCO3⁻ − 24)+ 40(±2 Torr)。ほかに HCO3⁻ + 15 や 0.7 × HCO3⁻ + 20 の式がある。代謝性アルカローシスでは呼吸の代償は予測しにくい
- 呼吸性の異常の代償(HCO3⁻ の変化の予測。PaCO2 40 Torr との差 10 Torr あたり): 急性の呼吸性アシドーシスは +1、急性の呼吸性アルカローシスは −2、慢性はどちらも 4〜5 の変化。下の変化量は「(PaCO2 − 40)÷ 10 × その値」で、PaCO2 が 40 より低いと符号が負(HCO3⁻ が下がる側)になる
- ΔAG−Δ[HCO3⁻](Δ-Δ): ΔAG = AG − AG の基準範囲の上限、Δ[HCO3⁻] = HCO3⁻ の基準値 − 測定した HCO3⁻。ケトアシドーシスは ΔAG − Δ[HCO3⁻]、乳酸アシドーシスは 0.6 × ΔAG − Δ[HCO3⁻] を使う
- A-aDO₂(Torr)= FiO2 ×(760 − 47)− PaO2 − PaCO2 ÷ 0.8。海面・室内気では 150 − PaO2 − 1.25 × PaCO2 でも近似できる
注意
- 一次性の異常を決めるのは利用者。原典の基準は、代謝性アシドーシスが pH 7.38 未満かつ HCO3⁻ 22 未満、代謝性アルカローシスが pH 7.42 超かつ HCO3⁻ 26 超、呼吸性アシドーシスが pH 7.38 未満かつ PaCO2 42 超、呼吸性アルカローシスが pH 7.42 超かつ PaCO2 38 未満。基準値は pH 7.40±0.02、PaCO2 38±2 Torr(表1の注では 40±2)、HCO3⁻ 24±2 mEq/L。このツールは pH を使わず、診断名も出さない
- 予測 PaCO2 より実測の PaCO2 が高いか低いと、呼吸性アシドーシスまたはアルカローシスの合併を考える(代謝性の異常のとき)。呼吸性の異常のときは、実測の HCO3⁻ の変化が予測より大きいか小さいかで、代謝性の異常の合併を考える。血液ガスの値は、2つ以上の異常が同時にあるとしても説明できる
- 代償が完成するまでの時間は、代謝性アシドーシスで 12〜24 時間、代謝性アルカローシスで 24〜36 時間、呼吸性の異常で 2〜5 日。それより早い時期の値には予測式が当てはまらない
- 予測式は約40年前のヒトとイヌの研究に基づく近似で、信頼区間を作るだけの資料がない。重い低酸素血症では PaCO2 の代償が限られる。慢性の呼吸性アシドーシスでも pH が正常になることがある
- AG の基準範囲は検査室と測定法で違い、3.0〜12.0 から 8.5〜15.0 mEq/L まで報告されている。自施設の基準範囲を使う。AG はアルブミンで補正する。補正 AG も近似で、マグネシウム・カルシウム・リン酸のイオンは考慮していない
- ΔAG−Δ[HCO3⁻] は、高AG代謝性アシドーシスがあるときに使う。AG と HCO3⁻ の本来の値は分からず、基準範囲も広いので近似。乳酸アシドーシスで 0.6 を掛けるのは、おそらく乳酸の腎クリアランスがケト酸より低いためと原典は述べる(ごく急性の乳酸アシドーシスでは 1:1 に近いことがある)。このツールの ΔAG は補正前の AG で計算する
- A-aDO₂ は海面(大気圧 760 Torr)・37℃・呼吸商 0.8 の計算。基準は若い人で 10 Torr 未満(5〜10)、高齢者で 20 Torr 未満(15〜20)。10 年ごとに約 2 Torr 開き、年齢 ÷ 4 + 4 でも近似できる
出典
- Berend K, de Vries APJ, Gans ROB. Physiological approach to assessment of acid-base disturbances. N Engl J Med. 2014;371(15):1434-1445(2014年10月16日の更新あり).(表1、図1、表3の注、p.1437〜1438(アニオンギャップ)、p.1441〜1442(Δ-Δ・A-a 較差)、症例1〜3) PMID: 25295502、DOI: 10.1056/NEJMra1003327[解説・総説]
確認日: 2026-10-14
免責
この計算は医療者の判断を補助するためのものです。結果は参考情報であり、診断・治療の判断は担当の医療者が行ってください。入力した値は端末の外に送りません。