カルボプラチンの投与量(Calvert の式)
目標 AUC と GFR から投与量(mg)を求める(成人)
あと 2 項目
計算式
- 投与量(mg)= 目標 AUC(mg・分/mL)×(GFR(mL/分)+ 25)
- GFR は体表面積で補正しない個々の患者の値(mL/分)。「25」は非腎クリアランスにあたる定数。上限・下限・丸めは設けない
注意
- 添付文書の警告(1.): 本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施する。治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与する(1.1)。小児悪性固形腫瘍に対するがん化学療法は、小児のがん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで実施する(1.2)
- 1回量はレジメン・適応・腎機能・前治療で変わる。目標 AUC の値と、どの併用でどの量を使うかは、添付文書とレジメンで確かめる。添付文書は、乳癌・子宮体癌では AUC の目標値と腎機能に基づく量を「関連する学会の最新のガイドライン等を参考に設定すること」としている
- Calvert の式の注がある添付文書は、17.1.3・17.1.4 の臨床試験の項で、量の算出に Calvert の式などが用いられたと書く。この注は製剤によって無い(先発品の添付文書には式の記載が無い)。式の GFR は糸球体濾過量(mL/分)と書かれ、何で求めるか(実測・推算式)の定めは添付文書に無い
- ガイドラインによると、Calvert 式の元になった研究は 51Cr-EDTA クリアランスの実測 GFR を使っており、実臨床では CCr を代用することが多い。CCr は GFR より高くなる(尿細管分泌のため)。血清クレアチニンを酵素法で測った値から求めた CCr を代用すると過量投与になるおそれがあり、Jaffé 法の値に合わせるため血清クレアチニンに 0.2 を足して求めた CCr を使うことが提唱されている。このツールは入れた GFR の値をそのまま使い、0.2 は足さない
- ガイドラインによると、日本人の GFR 推算式(eGFR)の値は標準体表面積 1.73 m² あたり(mL/分/1.73m²)なので、Calvert 式に使うときは患者の体表面積を使って「体表面積 ÷ 1.73」を掛け、個々の患者の mL/分にする。ここに eGFR(mL/分/1.73m²)をそのまま入れない
- ガイドラインによると、最近の臨床試験の中には、Calvert 式に酵素法のクレアチニンから求めた CCr をそのまま使うものがある(KEYNOTE-189・KEYNOTE-407)。臨床試験の方法で投与する場合は、その試験の方法に準じて量を決める
- ガイドラインによると、Calvert 式は GFR 33〜135 mL/分の患者の研究から導かれた式で、重度の腎不全の患者に使えるかは不明。重度の腎機能低下例では、GFR と比べて腎以外のクリアランスの割合が相対的に高くなるため、過量投与になる可能性がある。急性期など腎機能が変動しているとき、サルコペニアや低栄養など筋肉量が極端に少ないときは、血清クレアチニンからの推算は腎機能を過大評価する
- ガイドラインによると、米国では過量投与を避けるため、FDA が Calvert 式に使う GFR の上限を 125 mL/分とし、AUC 4・5・6 の投与量の上限を 600・750・900 mg とするよう通知している。添付文書には GFR の上限・投与量の上限の定めが無く、このツールは上限を設けない。ガイドラインは、日本人では腎以外のクリアランスが 25 より低く 15 という報告があるとも書くが、このツールは 25 を使う
- 添付文書の用法及び用量でカルボプラチンが AUC で書かれているのは、乳癌の一部の併用療法(ペムブロリズマブとの併用)と子宮体癌だけで、頭頸部癌・肺小細胞癌・睾丸腫瘍・卵巣癌・子宮頸癌・悪性リンパ腫・非小細胞肺癌(成人)や、乳癌のトラスツズマブ・タキサン系薬剤との併用は 300〜400 mg/m²(体表面積)、小児悪性固形腫瘍の併用療法は体表面積あたりの量(網膜芽腫では 36ヵ月齢以下の患児は体重あたり 18.6 mg/kg)で書かれている。悪性胸膜中皮腫・胸腺癌・肛門管扁平上皮癌の併用療法は、併用する薬剤(ペムブロリズマブ・アテゾリズマブ・レチファンリマブ)の電子添文を参照するとされ、量は 6. に書かれていない(5.1〜5.3)。成人で目標 AUC を設定して腎機能に基づいて量を決める方法は、ガイドラインが推奨している(体表面積に基づく方法と効果・副作用を比べた臨床試験は無く、合理的で広く普及している、という位置づけ)。前治療(特にシスプラチン)で腎機能が低下している患者には、添付文書は初回投与量を適宜減量するとしている(9.2.1)
出典
- Calvert AH, Newell DR, Gumbrell LA, O'Reilly S, Burnell M, Boxall FE, Siddik ZH, Judson IR, Gore ME, Wiltshaw E. Carboplatin dosage: prospective evaluation of a simple formula based on renal function. J Clin Oncol. 1989;7(11):1748-1756.(抄録)(原典未見) PMID: 2681557、DOI: 10.1200/JCO.1989.7.11.1748[原著]
- カルボプラチン点滴静注液50mg「NK」・150mg「NK」・450mg「NK」 添付文書. 2026年7月改訂(第8版).(6. 用法及び用量、7. 用法及び用量に関連する注意、9.2 腎機能障害患者、17.1.3・17.1.4(Calvert の式)) https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/730869_4291403A1096_7_06[添付文書]
上記の資料をもとに、当ツールが編集・加工して作成しました(国・作成元が作成したものではありません)
- パラプラチン注射液50mg・150mg・450mg 添付文書. 2026年7月改訂(第9版).(1.(警告)、6.・7.(NK と同じ AUC の値・文)、17.1(Calvert の式の注が無いことの確認)) https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/450900_4291403A1088_3_05[添付文書]
上記の資料をもとに、当ツールが編集・加工して作成しました(国・作成元が作成したものではありません)
- 日本腎臓学会・日本癌治療学会・日本臨床腫瘍学会・日本腎臓病薬物療法学会 編. がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン2022. ライフサイエンス出版; 2022.(総説6 2-1-2 カルボプラチン(式-5)、GPS 1(pp.76-78)) https://jsn.or.jp/medic/data/guidelines2022.pdf[ガイドライン]
確認日: 2026-10-21
免責
この計算は医療者の判断を補助するためのものです。結果は参考情報であり、診断・治療の判断は担当の医療者が行ってください。入力した値は端末の外に送りません。