臨床計算ツール

心アミロイドーシス(野生型 ATTR)の Red Flag 症状/所見

原因不明の左室肥大に Red Flag の所見が1つ以上あるとき、骨シンチグラフィと M 蛋白の検査を勧める手順

あと 7 項目

前提: 原因不明の左室肥大がある

高血圧や弁膜症による後負荷の増加では説明できない左室肥大。壁厚の目安は、従来の 14 mm 以上より、日本人では 12 mm 超が現実的かもしれないと原典の著者は述べる(さらに検討が要る)

心不全の症状がある(息切れ・むくみなど)

原典は、駆出率が軽度低下の心不全で入院した高齢者でも、この病気を疑うよう述べる

NT-proBNP、高感度トロポニン T・I のどれかが高い

原典は、心不全の程度に比べて不釣り合いに高い NT-proBNP、高感度トロポニン T が 0.03 ng/mL 超を、この病気を疑う所見に挙げる

心電図に異常がある(心房細動・房室ブロック・偽梗塞パターンなど)

原因不明の心房の不整脈・伝導障害・ペースメーカーの必要もこの項目に含まれる。低電位は感度が低く、無くても否定できない

心エコー図か心臓 MRI に、この病気に特徴的な所見がある

心エコー図では心筋が粒状に光って見える所見(granular sparkling)、心臓 MRI では左室の内膜側のびまん性の遅延造影などを、原典は例に挙げる

0〜100
歳

60歳以上が項目の1つ(原典は advanced age ≥60 years)

手根管症候群か脊柱管狭窄症の既往がある

両側の手根管症候群、腰部脊柱管狭窄症などを、原典は例に挙げる

基準

  • 前提: 原因不明の左室肥大がある
  • 心不全の症状がある
  • NT-proBNP・高感度トロポニンが高い
  • 心電図に異常がある
  • 心エコー図・心臓 MRI に特徴的な所見がある
  • 年齢が 60歳以上
  • 手根管症候群・脊柱管狭窄症の既往がある

注意

  • 原典は専門家の議論から作った手順で、検証した診断規則ではない。感度・特異度などは示されていない。2019年2月に東京で開いた日本の医療諮問会議の議論をもとにした、とある。この会議は製薬企業の支援を受けていて、著者の一部は同社の社員である
  • 60歳以上というだけで6つの所見のうち1つを満たす。原因不明の左室肥大のある60歳以上の人は、他の所見が無くても「検査を勧める」側に入る
  • 左室肥大の壁厚について、原典は従来の 14 mm 以上が日本人に当てはまらないかもしれないとし、12 mm 超が現実的かもしれないが、さらに検討が要ると述べる。この画面は壁厚の数値を条件にせず、原因不明の左室肥大かどうかを選ぶ形にした
  • M 蛋白の検査(血清の遊離軽鎖、血清・尿の蛋白電気泳動と免疫固定)に異常があれば、AL アミロイドーシスの可能性があり、骨シンチグラフィだけでは診断できない。骨シンチグラフィの陽性は視覚的評価で Grade 2 以上(原典)。診断の確定には、組織生検・アミロイドのタイピング・TTR 遺伝子検査も要る
  • 日本循環器学会の心アミロイドーシス診療ガイドライン(2020年版)の診療アルゴリズムは、点数や件数で数える規則ではなく、念頭に置く患者・チェックする徴候・スクリーニング検査の一覧を示し、M 蛋白の検出と骨シンチグラフィを並べて行う図で、年齢の項目は無い。この画面の手順とは作りが違うので、同じ結果になるとは限らない。なお同ガイドラインの CQ1 は、骨シンチグラフィの患者選択の指標の1つとして Kumamoto Criteria(高感度トロポニン T 0.03 ng/mL 以上・左室壁厚 13.6 mm 以上・QRS 幅 120 ms 以上のうち2項目以上)を紹介していて、件数で数える指標が無いわけではない

出典

  1. Inomata T, Tahara N, Nakamura K, Endo J, Ueda M, Ishii T, Kitano Y, Koyama J. Diagnosis of wild-type transthyretin amyloid cardiomyopathy in Japan: red-flag symptom clusters and diagnostic algorithm. ESC Heart Fail. 2021;8(4):2647-2659.(Red-flag symptoms and signs of wild-type transthyretin amyloid cardiomyopathy in Japan の節) PMID: 34137515、DOI: 10.1002/ehf2.13473、https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8318452/[解説・総説]
  2. 日本循環器学会. 2020年版 心アミロイドーシス診療ガイドライン(JCS 2020 Guideline on Diagnosis and Treatment of Cardiac Amyloidosis). 2020年3月13日発行.(図32、表8、表10、表36) https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/04/JCS2020_Kitaoka.pdf[ガイドライン]

確認日: 2026-10-15

免責

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