補正 Ca 濃度
実測のカルシウムとアルブミンから、アルブミンで補正したカルシウム濃度を計算する(Payne の式)
あと 2 項目
計算式
- 補正 Ca(mg/dL)= 実測 Ca(mg/dL)+(4 − アルブミン g/dL)
- アルブミンが 4.0 g/dL 未満のときだけ補正する(日本透析医学会の CKD-MBD 診療ガイドライン。低アルブミン血症のとき補正式を目安に用いる)。4.0 g/dL 以上は補正せず、実測 Ca をそのまま補正 Ca として出す
- 係数は 1。Payne ら(1973)の式 = 実測 Ca − アルブミン + 4.0(mg/100 mL・g/100 mL)と、日本透析医学会(2012・2025年改訂版)の「Payne の補正式」が同じ
注意
- 日本透析医学会の CKD-MBD 診療ガイドライン(2012年、2025年改訂版)は、低アルブミン血症(4.0 g/dL 未満)があるときに、この補正式を目安として用いるとする。2012年版は、透析患者の補正 Ca の計算に Payne の式を選んだ理由を、広く知られて簡便なこと、と書く。2025年改訂版は、高 Ca 血症を見逃さない観点から選んだとする
- 補正式は推定で、測った値ではない。2025年改訂版は、Payne の式はもともと高グロブリン血症を伴う肝疾患の患者の高 Ca 血症の評価に適したもので、低 Ca 血症の評価には適さないこと、アルブミン値の測定法が施設で標準化されていないことに注意が必要と述べ、補正 Ca は特にアルブミンが低いときにイオン化 Ca に比べて高値になるとする。測定できるなら、イオン化 Ca での評価も合わせて行うべきとする
- 2026年の IOF・IFCC・EFLM の合同の声明(Cavalier ら)は、アルブミンで補正したカルシウムを検査室が日常に報告するのをやめるよう勧める。理由として、イオン化 Ca との一致が実測の総 Ca より悪い研究があること、アルブミン・pH・腎機能・炎症が変わった患者で最も当てにならないこと、Payne の式は BCG 法のアルブミンで作られ、肝機能検査に出された 200 検体で導いてイオン化 Ca と照合していないこと、原著では腎臓部門の検体が除かれていたことを挙げている
- 日本透析医学会 2012年版は、日本にはアルブミンの測定法が複数混在し、改良法で測ったアルブミンは従来法より低くなるので、測定系を念頭において評価する必要があると述べる
- 米国の K/DOQI ガイドライン(2003)の補正式は、係数が 0.8(補正 Ca = 実測 Ca +(4 − アルブミン)× 0.8)。日本透析医学会 2012年版の解説が、KDIGO でも用いられていると書く。この画面は係数 1 の Payne の式で、係数 0.8 の式は計算しない
- Payne らの原著は、肝機能検査に出された連続した 200 検体で、カルシウムがアルブミン(r=0.867)と、蛋白の総量(r=0.682)より強く相関することから、補正の式を導いた。骨髄腫では異常蛋白がカルシウムを結合しうるので、アルブミンだけの補正では結合の状態を反映しない(2026年の声明が骨髄腫の例を挙げる)
出典
- Payne RB, Little AJ, Williams RB, Milner JR. Interpretation of serum calcium in patients with abnormal serum proteins. Br Med J. 1973;4(5893):643-646.(抄録・本文の式(Adjusted calcium = calcium − albumin + 4.0)) PMID: 4758544、DOI: 10.1136/bmj.4.5893.643、https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC1587636/[原著]
- 日本透析医学会. 慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン. 透析会誌. 2012;45(4):301-356.(総論 補足*2(p.307)、解説(p.307〜308)、小児の補足*3(p.335)) https://www.jsdt.or.jp/tools/file/download.cgi/1336/%E6%85%A2%E6%80%A7%E8%85%8E%E8%87%93%E7%97%85%E3%81%AB%E4%BC%B4%E3%81%86%E9%AA%A8%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%83%8D%E3%83%A9%E3%83%AB%E4%BB%A3%E8%AC%9D%E7%95%B0%E5%B8%B8%E3%81%AE%E8%A8%BA%E7%99%82%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3+.pdf[ガイドライン]
- 日本透析医学会. 慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン(2025年改訂版). 透析会誌. 2026;59(4):127-224.(Statement 1 の補足(p.138)・解説(p.138〜139)、Practice Point 2.2.1 の解説(p.146〜147)) https://www.jsdt.or.jp/tools/file/download.cgi/4415/CKD_MBD_GL2025_jjsdt59_127.pdf[ガイドライン]
- 単位の換算: Ca(mg/dL)= mmol/L × 4.008(Ca の原子量 40.078。1 mmol/L = 4.0078 mg/dL ≒ 4.008 mg/dL)。入力は mg/dL だけで、mmol/L の値を使うときの hint の換算[式の導き方]
- Cavalier E, Zima T, Plebani M, et al. Albumin-adjusted ("corrected") calcium should no longer be reported: a position statement from the Joint IOF Working Group and IFCC Committee on Bone Metabolism and EFLM Committee on CKD. Clin Chem Lab Med. 2026 (aop). doi:10.1515/cclm-2026-0545.(本文(全体。2頁)) DOI: 10.1515/cclm-2026-0545、https://www.eflm.eu/upload/publications/2075-2026-ClinChemLabMed-Cavalier-et-al.pdf[解説・総説]
確認日: 2026-10-16
免責
この計算は医療者の判断を補助するためのものです。結果は参考情報であり、診断・治療の判断は担当の医療者が行ってください。入力した値は端末の外に送りません。