臨床計算ツール

妊娠性絨毛性腫瘍の FIGO 病期分類と予後スコア(FIGO 2026)

妊娠性絨毛性腫瘍(GTN)の解剖学的病期を選び、7つの予後因子の点を足して、低リスク・高リスク・超高リスクに分ける

あと 8 項目

FIGO の解剖学的病期

腫瘍の広がりで選ぶ(点数には入らない)。リンパ節転移は、横隔膜より下なら III 期、上なら IV 期。画像で見つけたときは「r」、病理で確かめたときは「p」を病期に付ける(例: III LN r)。リンパ節は短径 10 mm 以上で転移と数える

0〜100
歳

診断時の年齢。40歳以上で1点。例: 32

先行妊娠

先行妊娠が複数あるときは、現在の妊娠を含めて、いちばん最近の妊娠を先行妊娠にする。流産には、自然流産・人工流産と、卵管・卵巣などの異所性妊娠を含む

0〜120
カ月

先行妊娠からの月数(整数)。4カ月未満は0点、4〜6カ月は1点、7〜12カ月は2点、12カ月を超えると4点。例: 8

0〜10000000
mIU/mL

GTN と診断した時点の、治療(手術または薬物療法)を始める前の値。胞状奇胎を排出する前の値は使わない。IU/L と同じ数で入れる。例: 25000

0〜15
cm

子宮の病変と転移巣の両方を測り、最大の腫瘍径を入れる。測るのは腫瘍の大きさで、子宮の大きさではない。血腫と腫瘍を区別する。CT は使わない。3 cm 未満は0点、3〜5 cm は1点、5 cm を超えると2点。例: 4.2

転移の部位

子宮は転移部位に数えない(子宮外の絨毛癌は原発部位)。表にある部位から選ぶ。複数の部位に転移があるときの付け方は、読んだ資料に書かれていない

0〜30
個

子宮の腫瘍は数えない。腟の転移は診察と画像で評価して数える。肺転移は 1 cm 以上のものを、CT か胸部X線で数える。転移がなければ 0。1〜4個は1点、5〜8個は2点、9個以上は4点。例: 3

注意

  • 妊娠性絨毛性腫瘍(GTN)と診断された患者の病期とスコアに使う。GTN の診断は、hCG が4回の測定(1・7・14・21日)で変化 10% 未満の高止まり、または3回の週1回の測定(1・7・14日)で 10% を超える上昇、あるいは病理で妊娠性絨毛癌・PSTT・ETT と診断したとき。PSTT・ETT にはこのリスクスコアを使わず、別の病期(解剖学的な範囲と、先行妊娠からの期間 48カ月の前後)を使う。絨毛癌は、このスコアと病期で評価する
  • 病期とスコアは「病期:点数」の形で書く(例 II:5)。リンパ節の転移は、横隔膜より下が III 期、上が IV 期で、画像で見つけたとき「r」、病理で確かめたとき「p」を付ける。手術によるリンパ節の評価は勧められていない
  • hCG は、GTN と診断した時点の、治療を始める前の値を使う。胞状奇胎の排出の前に測った値は使わない。GTN は 24〜48時間で体積が2倍になることがあるので、hCG も画像も、治療(手術または薬物療法)の開始にできるだけ近い時点で測る
  • 腫瘍の最大径は、子宮の病変と転移巣の両方を測る。測るのは腫瘍の大きさで、子宮の大きさではない。血腫と腫瘍を区別する。子宮の腫瘍の大きさは、MRI・ドプラ付きの超音波・病理で測り、CT は勧められていない。転移の個数に数える肺の病変は 1 cm 以上で、微小な肺転移は病期にもスコアにも使わない
  • 表にある転移部位は、腟・肺・脾臓・腎臓・消化管・肝臓・脳。表にない部位の転移は、通常は多数の病変を伴うので点を増やさない、と書かれている。一方、表にない臓器への転移は高リスクの病気として扱う、とも書かれていて、臨床の判断が要る
  • スコア 5・6点の低リスクは、薬物療法に抵抗する割合が高いと認められている。追加の危険因子(胞状奇胎後で転移がなく、治療前 hCG が 410,000 IU/L 以上。胞状奇胎後で転移がある、または転移のない絨毛癌で、治療前 hCG が 150,000 IU/L 以上。転移のある絨毛癌で、hCG が上昇している)があるとき、初回から多剤併用が有益なことがある。低リスクの区切りの変更や、中間のリスク群を足すことは、今は勧められていない
  • 前の版(FIGO 2000)にあった「前の化学療法」の項目は、FIGO 2026 で外れた(再発・抵抗例の病期の取り直しは勧められないため)。日本婦人科腫瘍学会のガイドライン(2023年版)は FIGO 2000 の表(前の化学療法の項目つき。合計 6点以下を low risk、7点以上を high risk)を載せている。この画面は FIGO 2026 の表で、前の版との違いは、前の化学療法の項目が無いことと、13点以上の超高リスクがあること
  • 日本では、画像で病巣が確認でき病理が得られない場合の、臨床的侵入奇胎・臨床的絨毛癌の診断に絨毛癌診断スコアを使い、FIGO のリスクスコアと両方でスコアリングする。両者の診断が異なるときは、絨毛癌診断スコアを優先して治療法を選んでいることが多い(日本婦人科腫瘍学会ガイドライン 2023)。別の計算「絨毛癌診断スコア」にある

出典

  1. Ngan HYS, Seckl MJ, Horowitz N, Cheung ANY, Braga A, Sekharan PK, Fridsten S, Garrett A, Yanaihara N, Wilailak S, Schmalfeldt B. FIGO staging for gestational trophoblastic neoplasia: 2026. Int J Gynaecol Obstet. 2026;(online ahead of print):1-9.(Table 2(p.3)、Table 4(p.4)、Table 5(p.5)、Table 6(p.6)、本文 6.1・6.2・7・8(pp.5-6)) DOI: 10.1002/ijgo.71229[ガイドライン]
  2. 日本婦人科腫瘍学会 編. 子宮体がん治療ガイドライン 2023年版. 金原出版; 2023. 第8章 絨毛性疾患の治療 総説(学会ホームページ公開の第8章).(表6(p.195)、総説(p.194)) https://jsgo.or.jp/guideline/taiganguide2023.html[ガイドライン]
  3. Kohorn EI. The new FIGO 2000 staging and risk factor scoring system for gestational trophoblastic disease: description and critical assessment. Int J Gynecol Cancer. 2001;11(1):73-77.(本文)(原典未見) PMID: 11285037[解説・総説]

確認日: 2026-10-16

免責

この計算は医療者の判断を補助するためのものです。結果は参考情報であり、診断・治療の判断は担当の医療者が行ってください。入力した値は端末の外に送りません。