IMWG による形質細胞腫瘍の診断基準
血清・尿の M 蛋白、骨髄の形質細胞、臓器障害(CRAB)などから、MGUS・くすぶり型多発性骨髄腫・多発性骨髄腫の基準を満たすかを見る
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計算した値
- 血清カルシウム - 施設の基準上限(小数第1位に四捨五入してから基準と比べる)
- ヘモグロビンの施設の基準下限 - ヘモグロビン(小数第1位に四捨五入してから基準と比べる)
- κ 鎖 ÷ λ 鎖(小数第4位に四捨五入してから基準 0.26・1.65 と比べる)
- 大きいほうの鎖 ÷ 小さいほうの鎖(κ が多ければ κ/λ、λ が多ければ λ/κ。小数第2位に四捨五入してから基準 100 と比べる)
- κ と λ の大きいほう(κ/λ 比が 1 以上なら κ、1 未満なら λ。小数第2位に四捨五入してから基準 100 mg/L と比べる)
基準
- 高カルシウム血症: 血清カルシウムが 11 mg/dL を超える、または施設の基準上限より 1 mg/dL を超えて高い
- 腎不全: クレアチニンクリアランスが 40 mL/min 未満、または血清クレアチニンが 2 mg/dL を超える
- 貧血: ヘモグロビンが 10 g/dL 未満、または施設の基準下限より 2 g/dL を超えて低い
- 骨病変(骨髄腫の定義となる事象として数える): 溶骨性の病変が2か所以上、または骨髄のクローナルな形質細胞が 10% 以上で1か所以上
- 溶骨性の骨病変が1か所以上ある(MGUS・くすぶり型の欄では、CRAB の骨病変として1つ以上で外す)
- 骨髄のクローナルな形質細胞が 60% 以上
- 関与する/関与しない遊離軽鎖の比が 100 以上で、関与する遊離軽鎖が 100 mg/L 以上
- MRI で 5 mm の基準を満たす巣状病変が2か所以上(1を超える)
- 形質細胞腫瘍に伴うアミロイドーシスがある
- 骨髄のクローナルな形質細胞が 10% 以上、または生検で確かめた骨・骨外の形質細胞腫がある
- 血清 M 蛋白(IgG・IgA)が 3 g/dL 以上、または尿中 M 蛋白が 500 mg/24時間以上、または骨髄のクローナルな形質細胞が 10% 以上 60% 未満(60% 以上は MDE)
- 非 IgM 型 M 蛋白が 3 g/dL 未満で、骨髄のクローナルな形質細胞が 10% 未満
- IgM 型 M 蛋白が 3 g/dL 未満で、骨髄のリンパ形質細胞浸潤が 10% 未満で、貧血・全身症状などがない
- 遊離軽鎖の比が異常(0.26 未満または 1.65 超)で、合う側の軽鎖が増加し、重鎖の発現がなく、骨髄の形質細胞が 10% 未満で、尿中 M 蛋白が 500 mg/24時間未満
注意
- MDE(骨髄腫の定義となる事象)は、臓器障害(CRAB: 高カルシウム血症・腎不全・貧血・骨病変)と、3つの biomarker(骨髄のクローナルな形質細胞 60%以上、関与する/関与しない遊離軽鎖の比 100 以上〈関与する遊離軽鎖 100 mg/L 以上〉、MRI の巣状病変が2か所以上)。CRAB は、形質細胞腫瘍によると考えられるときに数える(貧血や腎不全が他の原因なら数えない)
- 多発性骨髄腫の診断は、骨髄のクローナルな形質細胞 10% 以上、または生検で確かめた骨・骨外の形質細胞腫があり、MDE が1つ以上あること。骨髄の形質細胞が 10% 未満のときは、骨病変の項目に2か所以上が要る(日本血液学会の表1は、この注を多発性骨髄腫の行の末尾に置き、行全体の条件にも読める。この計算は、この注を骨病変の項の条件として扱い、骨病変以外の MDE は骨髄が 10% 未満でも数える)
- くすぶり型は、血清 M 蛋白(IgG・IgA)3 g/dL 以上または尿中 M 蛋白 500 mg/24時間以上、かつ/または骨髄のクローナルな形質細胞 10% 以上 60% 未満で、MDE もアミロイドーシスもないこと。骨髄の形質細胞が 60% 以上は MDE なので、多発性骨髄腫の側に入る
- MGUS は、非 IgM 型・IgM 型・軽鎖型で基準が違う。非 IgM 型と軽鎖型は CRAB またはアミロイドーシスがないこと、IgM 型は貧血・全身症状・過粘稠・リンパ節腫大・肝脾腫がないこと。尿中 M 蛋白が 500 mg/24時間以上なら、血清 M 蛋白が 3 g/dL 未満でもくすぶり型の基準に当たる
- IgM 型 M 蛋白のときは、IgM 型 MGUS の基準を見る(日本血液学会の表の IgM の行は MGUS だけなので、この計算は IgM 型のくすぶり型・多発性骨髄腫を判定しない)。ただし生検で確かめた形質細胞腫があるときは IgM 型 MGUS とは出さない: 骨髄腫の定義となる事象があれば「該当なし」、無ければ孤立性形質細胞腫の案内(表1 の孤立性形質細胞腫の行は M 蛋白の型を限らない)
- 孤立性形質細胞腫・多発性形質細胞腫・形質細胞白血病・POEMS 症候群・全身性 AL アミロイドーシスの基準は、この計算では判定しない。日本血液学会の表は形質細胞白血病を末梢血の形質細胞 2,000/μL 超かつ 20% 以上とし、5% 以上を同様に予後不良とする報告があると注記する。別の総説(Rajkumar 2022)は、多発性骨髄腫の基準を満たし末梢血の形質細胞が 5% 以上と書く
- 生検で確かめた形質細胞腫があるとき: 骨髄の形質細胞が 10% 未満で骨髄腫の定義となる事象がなければ、骨髄に形質細胞がない(0%)なら「孤立性形質細胞腫」、0% を超えるなら「微小骨髄浸潤を有する孤立性形質細胞腫」に当たりうるので、MGUS・くすぶり型とは出さない(この計算は孤立性形質細胞腫を判定しない。M 蛋白の型を問わない)。骨髄が 10% 以上 60% 未満で事象がなければ、日本血液学会の表1 の字句どおりくすぶり型と出すが、Rajkumar 2022 の脚注は骨髄 10% 以上の孤立性形質細胞腫を多発性骨髄腫とみなす(日本血液学会の表1 にこの注は無い)
- 巣状病変の大きさの基準は資料で書き方が割れる: 日本血液学会の付表と Rajkumar 2022 は「5 mm 以上」、日本血液学会の本文は「5 mm を超える」。ちょうど 5 mm の病変を数えるかは、この計算では入力する人に任せている
- MGUS の欄は、表の書き方のとおり CRAB とアミロイドーシスの有無を見る。biomarker(遊離軽鎖の比 100 以上・MRI の巣状病変)だけがあり、骨髄の形質細胞が 10% 未満で形質細胞腫もないときは、多発性骨髄腫の前提を満たさず、この計算では MGUS の欄に当たることがある
- MRI や画像検査を行っていないときの 0 は、「所見なし」ではなく「検査していない」ことがある。その場合、MDE を見逃した結果になりうる。遊離軽鎖・尿中 M 蛋白・施設の基準値を空欄にしたときは、その基準は満たさない扱いになる。画像を撮らないまま「くすぶり型」と出ても、MDE を見逃している可能性がある
- 遊離軽鎖は κ 鎖と λ 鎖の濃度(mg/L)を別々に入れる。κ/λ の比、関与する/関与しない鎖の比、関与する鎖の濃度は計算で出す(濃度が高いほうを関与する鎖とする)。どちらかが極端に低いと、比は非常に大きく(または小さく)なる
出典
- Rajkumar SV, Dimopoulos MA, Palumbo A, et al. International Myeloma Working Group updated criteria for the diagnosis of multiple myeloma. Lancet Oncol. 2014;15(12):e538-e548.(全体)(原典未見) PMID: 25439696、DOI: 10.1016/S1470-2045(14)70442-5[原著]
- 日本血液学会編. 造血器腫瘍診療ガイドライン 第3.1版(2024年版). 多発性骨髄腫・総論.(表1「IMWG による形質細胞腫瘍の診断規準」と付表(MDE・biomarker)) https://www.jshem.or.jp/gui-hemali/3_1_1.html[ガイドライン]
- Rajkumar SV. Multiple myeloma: 2022 update on diagnosis, risk stratification, and management. Am J Hematol. 2022;97(8):1086-1107.(Table 1(IMWG の診断基準。Lancet Oncol 2014 の表の再掲)) PMID: 35560063、DOI: 10.1002/ajh.26590、https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9387011/[解説・総説]
確認日: 2026-10-16
免責
この計算は医療者の判断を補助するためのものです。結果は参考情報であり、診断・治療の判断は担当の医療者が行ってください。入力した値は端末の外に送りません。