臨床計算ツール

IMWG による形質細胞腫瘍の診断基準

血清・尿の M 蛋白、骨髄の形質細胞、臓器障害(CRAB)などから、MGUS・くすぶり型多発性骨髄腫・多発性骨髄腫の基準を満たすかを見る

あと 11 項目

血清に見つかった M 蛋白の種類

免疫固定法などで調べた種類。重鎖がなく軽鎖だけなら「軽鎖のみ」

0〜5000
mg/24時間

24 時間蓄尿での量。測っていなければ空欄(その基準は満たさない扱い)

0〜100
%

IgM 型 M 蛋白では、IgM 型 MGUS の基準にある「骨髄のリンパ形質細胞浸潤」の割合を入れる

生検で確かめた、骨または軟部組織(骨外)の形質細胞腫がある
7〜14
mg/dL

形質細胞腫瘍によると考えられる高値を見る。例: 10.4

9〜11
mg/dL

基準上限より 1 mg/dL を超えて高いかを見るのに使う。空欄なら、11 mg/dL を超えるかだけを見る

0.3〜15
mg/dL

形質細胞腫瘍によると考えられる腎障害を見る。2 mg/dL を超えると腎不全の基準

5〜150
mL/min

測っていれば入れる。40 mL/min 未満で腎不全の基準。空欄なら、クレアチニンだけで見る

5〜20
g/dL

形質細胞腫瘍によると考えられる貧血を見る。10 g/dL 未満で貧血の基準

11〜14
g/dL

基準下限より 2 g/dL を超えて低いかを見るのに使う。空欄なら、10 g/dL 未満かだけを見る

0〜30
か所

X 線・CT・PET/CT で確かめた溶骨性病変の数。画像を撮っていなければ 0

0〜30
か所

大きさの基準(5 mm)を満たす巣状病変の数。ちょうど 5 mm の扱いは注意を参照。MRI を撮っていなければ 0

3〜20
mg/L

血清の遊離軽鎖(FLC)の κ 鎖の濃度。基準の目安は 3.3〜19.4 mg/L。例: 15.2

5〜27
mg/L

血清の遊離軽鎖(FLC)の λ 鎖の濃度。基準の目安は 5.7〜26.3 mg/L。例: 18.0

形質細胞腫瘍に伴うアミロイドーシスがある

計算した値

  • 血清カルシウム - 施設の基準上限(小数第1位に四捨五入してから基準と比べる)
  • ヘモグロビンの施設の基準下限 - ヘモグロビン(小数第1位に四捨五入してから基準と比べる)
  • κ 鎖 ÷ λ 鎖(小数第4位に四捨五入してから基準 0.26・1.65 と比べる)
  • 大きいほうの鎖 ÷ 小さいほうの鎖(κ が多ければ κ/λ、λ が多ければ λ/κ。小数第2位に四捨五入してから基準 100 と比べる)
  • κ と λ の大きいほう(κ/λ 比が 1 以上なら κ、1 未満なら λ。小数第2位に四捨五入してから基準 100 mg/L と比べる)

基準

  • 高カルシウム血症: 血清カルシウムが 11 mg/dL を超える、または施設の基準上限より 1 mg/dL を超えて高い
  • 腎不全: クレアチニンクリアランスが 40 mL/min 未満、または血清クレアチニンが 2 mg/dL を超える
  • 貧血: ヘモグロビンが 10 g/dL 未満、または施設の基準下限より 2 g/dL を超えて低い
  • 骨病変(骨髄腫の定義となる事象として数える): 溶骨性の病変が2か所以上、または骨髄のクローナルな形質細胞が 10% 以上で1か所以上
  • 溶骨性の骨病変が1か所以上ある(MGUS・くすぶり型の欄では、CRAB の骨病変として1つ以上で外す)
  • 骨髄のクローナルな形質細胞が 60% 以上
  • 関与する/関与しない遊離軽鎖の比が 100 以上で、関与する遊離軽鎖が 100 mg/L 以上
  • MRI で 5 mm の基準を満たす巣状病変が2か所以上(1を超える)
  • 形質細胞腫瘍に伴うアミロイドーシスがある
  • 骨髄のクローナルな形質細胞が 10% 以上、または生検で確かめた骨・骨外の形質細胞腫がある
  • 血清 M 蛋白(IgG・IgA)が 3 g/dL 以上、または尿中 M 蛋白が 500 mg/24時間以上、または骨髄のクローナルな形質細胞が 10% 以上 60% 未満(60% 以上は MDE)
  • 非 IgM 型 M 蛋白が 3 g/dL 未満で、骨髄のクローナルな形質細胞が 10% 未満
  • IgM 型 M 蛋白が 3 g/dL 未満で、骨髄のリンパ形質細胞浸潤が 10% 未満で、貧血・全身症状などがない
  • 遊離軽鎖の比が異常(0.26 未満または 1.65 超)で、合う側の軽鎖が増加し、重鎖の発現がなく、骨髄の形質細胞が 10% 未満で、尿中 M 蛋白が 500 mg/24時間未満

注意

  • MDE(骨髄腫の定義となる事象)は、臓器障害(CRAB: 高カルシウム血症・腎不全・貧血・骨病変)と、3つの biomarker(骨髄のクローナルな形質細胞 60%以上、関与する/関与しない遊離軽鎖の比 100 以上〈関与する遊離軽鎖 100 mg/L 以上〉、MRI の巣状病変が2か所以上)。CRAB は、形質細胞腫瘍によると考えられるときに数える(貧血や腎不全が他の原因なら数えない)
  • 多発性骨髄腫の診断は、骨髄のクローナルな形質細胞 10% 以上、または生検で確かめた骨・骨外の形質細胞腫があり、MDE が1つ以上あること。骨髄の形質細胞が 10% 未満のときは、骨病変の項目に2か所以上が要る(日本血液学会の表1は、この注を多発性骨髄腫の行の末尾に置き、行全体の条件にも読める。この計算は、この注を骨病変の項の条件として扱い、骨病変以外の MDE は骨髄が 10% 未満でも数える)
  • くすぶり型は、血清 M 蛋白(IgG・IgA)3 g/dL 以上または尿中 M 蛋白 500 mg/24時間以上、かつ/または骨髄のクローナルな形質細胞 10% 以上 60% 未満で、MDE もアミロイドーシスもないこと。骨髄の形質細胞が 60% 以上は MDE なので、多発性骨髄腫の側に入る
  • MGUS は、非 IgM 型・IgM 型・軽鎖型で基準が違う。非 IgM 型と軽鎖型は CRAB またはアミロイドーシスがないこと、IgM 型は貧血・全身症状・過粘稠・リンパ節腫大・肝脾腫がないこと。尿中 M 蛋白が 500 mg/24時間以上なら、血清 M 蛋白が 3 g/dL 未満でもくすぶり型の基準に当たる
  • IgM 型 M 蛋白のときは、IgM 型 MGUS の基準を見る(日本血液学会の表の IgM の行は MGUS だけなので、この計算は IgM 型のくすぶり型・多発性骨髄腫を判定しない)。ただし生検で確かめた形質細胞腫があるときは IgM 型 MGUS とは出さない: 骨髄腫の定義となる事象があれば「該当なし」、無ければ孤立性形質細胞腫の案内(表1 の孤立性形質細胞腫の行は M 蛋白の型を限らない)
  • 孤立性形質細胞腫・多発性形質細胞腫・形質細胞白血病・POEMS 症候群・全身性 AL アミロイドーシスの基準は、この計算では判定しない。日本血液学会の表は形質細胞白血病を末梢血の形質細胞 2,000/μL 超かつ 20% 以上とし、5% 以上を同様に予後不良とする報告があると注記する。別の総説(Rajkumar 2022)は、多発性骨髄腫の基準を満たし末梢血の形質細胞が 5% 以上と書く
  • 生検で確かめた形質細胞腫があるとき: 骨髄の形質細胞が 10% 未満で骨髄腫の定義となる事象がなければ、骨髄に形質細胞がない(0%)なら「孤立性形質細胞腫」、0% を超えるなら「微小骨髄浸潤を有する孤立性形質細胞腫」に当たりうるので、MGUS・くすぶり型とは出さない(この計算は孤立性形質細胞腫を判定しない。M 蛋白の型を問わない)。骨髄が 10% 以上 60% 未満で事象がなければ、日本血液学会の表1 の字句どおりくすぶり型と出すが、Rajkumar 2022 の脚注は骨髄 10% 以上の孤立性形質細胞腫を多発性骨髄腫とみなす(日本血液学会の表1 にこの注は無い)
  • 巣状病変の大きさの基準は資料で書き方が割れる: 日本血液学会の付表と Rajkumar 2022 は「5 mm 以上」、日本血液学会の本文は「5 mm を超える」。ちょうど 5 mm の病変を数えるかは、この計算では入力する人に任せている
  • MGUS の欄は、表の書き方のとおり CRAB とアミロイドーシスの有無を見る。biomarker(遊離軽鎖の比 100 以上・MRI の巣状病変)だけがあり、骨髄の形質細胞が 10% 未満で形質細胞腫もないときは、多発性骨髄腫の前提を満たさず、この計算では MGUS の欄に当たることがある
  • MRI や画像検査を行っていないときの 0 は、「所見なし」ではなく「検査していない」ことがある。その場合、MDE を見逃した結果になりうる。遊離軽鎖・尿中 M 蛋白・施設の基準値を空欄にしたときは、その基準は満たさない扱いになる。画像を撮らないまま「くすぶり型」と出ても、MDE を見逃している可能性がある
  • 遊離軽鎖は κ 鎖と λ 鎖の濃度(mg/L)を別々に入れる。κ/λ の比、関与する/関与しない鎖の比、関与する鎖の濃度は計算で出す(濃度が高いほうを関与する鎖とする)。どちらかが極端に低いと、比は非常に大きく(または小さく)なる

出典

  1. Rajkumar SV, Dimopoulos MA, Palumbo A, et al. International Myeloma Working Group updated criteria for the diagnosis of multiple myeloma. Lancet Oncol. 2014;15(12):e538-e548.(全体)(原典未見) PMID: 25439696、DOI: 10.1016/S1470-2045(14)70442-5[原著]
  2. 日本血液学会編. 造血器腫瘍診療ガイドライン 第3.1版(2024年版). 多発性骨髄腫・総論.(表1「IMWG による形質細胞腫瘍の診断規準」と付表(MDE・biomarker)) https://www.jshem.or.jp/gui-hemali/3_1_1.html[ガイドライン]
  3. Rajkumar SV. Multiple myeloma: 2022 update on diagnosis, risk stratification, and management. Am J Hematol. 2022;97(8):1086-1107.(Table 1(IMWG の診断基準。Lancet Oncol 2014 の表の再掲)) PMID: 35560063、DOI: 10.1002/ajh.26590、https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9387011/[解説・総説]

確認日: 2026-10-16

免責

この計算は医療者の判断を補助するためのものです。結果は参考情報であり、診断・治療の判断は担当の医療者が行ってください。入力した値は端末の外に送りません。