臨床計算ツール

IPSS-M(分子国際予後スコアリングシステム。骨髄異形成症候群)

骨髄異形成症候群(MDS)の予後を、ヘモグロビン・血小板数・骨髄芽球・染色体と、31 遺伝子の変異で連続のスコアにし、6群に分ける

あと 37 項目

臨床因子

0/5
5〜20
g/dL

g/dL で入れる。モデルは 4〜20 g/dL の範囲に収めて使う(4 未満は 4、20 超は 20 として計算する)

1〜80
×10⁴/μL

例: 15.2(15.2万/μL)。結果が ×10³/μL(=×10⁹/L)で「152」なら 15.2 と入れる。モデルは 250×10⁹/L(25万/μL)を上限に収めて使う

0〜20
%

骨髄の芽球の割合。モデルは 20% を上限に収めて使う(20% を超えても 20% として計算する)

骨髄の染色体(核型)の予後群(IPSS-R と同じ区分)

IPSS-M の核型の区分は IPSS-R と同じ。選択肢の染色体異常は、その群に入る主な例

del(5q) があり、−7・del(7q)・複雑核型を伴わない

SF3B1 変異がある場合の分け方(5q 型か α 型か)に使う。SF3B1 変異がなければ結果に影響しない

遺伝子変異(各遺伝子の影響の大きさを考慮)

0/17
TP53 の変異の数
TP53 のもう一方のアレルの欠失(LOH)の根拠がある(17p の欠失、または変異アレル頻度が最大で 55% を超える)

TP53 変異が1つのときに使う(変異が1つで LOH の根拠があるとマルチヒットとして計算する)。変異が0または2つ以上のときは結果に影響しない

FLT3 の変異(ITD または TKD)
KMT2A(MLL)の部分タンデム重複(PTD)

構造異常またはコピー数の解析で見つける変異で、検査の系によっては調べられていない

NPM1 の変異
RUNX1 の変異
NRAS の変異
ETV6 の変異
IDH2 の変異
CBL の変異
EZH2 の変異
U2AF1 の変異
SRSF2 の変異
DNMT3A の変異
ASXL1 の変異
KRAS の変異
SF3B1 の変異

遺伝子変異(異常の数のみを考慮)

0/15
BCOR の変異
BCORL1 の変異
CEBPA の変異
ETNK1 の変異
GATA2 の変異
GNB1 の変異
IDH1 の変異
NF1 の変異
PHF6 の変異
PPM1D の変異
PRPF8 の変異
PTPN11 の変異
SETBP1 の変異
STAG2 の変異
WT1 の変異

計算式

  • IPSS-M リスクスコア = Σ[(変数の値 − 変数の平均値)× 重み]÷ ln(2)。22個の変数について足し、小数第2位に丸める。重みと平均値は原著者が公開したモデルの値
  • 臨床の変数: ヘモグロビン(4〜20 g/dL に収める)、血小板(250×10⁹/L を上限に収めて 100 で割る)、骨髄芽球(20% を上限に収めて 5 で割る)、染色体の群(Very good を 0、Good を 1、Intermediate を 2、Poor を 3、Very poor を 4)
  • 遺伝子の変数: TP53 のマルチヒット、FLT3、KMT2A-PTD、SF3B1(5q 型と α 型に分ける)、NPM1、RUNX1、NRAS、ETV6、IDH2、CBL、EZH2、U2AF1、SRSF2、DNMT3A、ASXL1、KRAS は有無(1 か 0)。残りの 15 遺伝子(BCOR・BCORL1・CEBPA・ETNK1・GATA2・GNB1・IDH1・NF1・PHF6・PPM1D・PRPF8・PTPN11・SETBP1・STAG2・WT1)は、変異のある遺伝子の数(上限 2)
  • 6群: スコア −1.5 以下が Very Low、−1.5 を超え −0.5 以下が Low、−0.5 を超え 0 以下が Moderate Low、0 を超え 0.5 以下が Moderate High、0.5 を超え 1.5 以下が High、1.5 を超えると Very High

注意

  • この画面は、すべての項目を入れたときのスコアだけを出す。原著者の計算機(R パッケージ)は、検査していない遺伝子(欠測)を、最良・平均・最悪の場合に置き換えてスコアと群を3通り出す。検査していない遺伝子を「いいえ」にすると、検査して変異がなかった場合と同じ計算になる。原著者の計算機は、欠測の遺伝子を最良の場合では変異なしとして計算するので、未検査を「いいえ」にした結果は、その遺伝子について最良の場合のスコアになり、予後を良い側に見積もることがある(SF3B1 を除く。原著者の計算機は、最良の場合では SF3B1 の α 型を「あり」、最悪の場合では「なし」として計算するので、SF3B1 を未検査のまま「いいえ」にすると、α 型の項は最悪の場合と同じ値になる)
  • この画面は、どの変異を「あり」と数えるか(病的変異の基準、FLT3 の ITD・TKD の扱いなど)を定めていない。原著者の資料で確かめてから入れる
  • 造血器腫瘍の参照ガイド(令和7年改訂版)は、IPSS-M は IPSS-R と異なり好中球減少が予後因子にならなかったため、貧血と血小板減少だけを使うと書いている。核型は IPSS-R と同じ区分を使う
  • 参照ガイドは、DDX41 変異のある症例には IPSS-M(と IPSS-R)を使えないと書いている。二次性 MDS・治療関連 MDS は、IPSS-M と独立した予後因子にならず、ほかの MDS と同じように IPSS-M が使えると書いている
  • 参照ガイドは、日本の 754 症例を検証コホートとして使った結果、高リスク症例に偏り、同じリスクでも全生存期間のハザード比が高い傾向があったと書いている
  • スコアは小数第2位に丸めた値で群を決める(−1.5・−0.5・0・0.5・1.5 ちょうどは下の群)。区切りの値の扱いは、原著者の R パッケージ(IPSSMmain の cut)による

出典

  1. Bernard E, Tuechler H, Greenberg PL, Hasserjian RP, Arango Ossa JE, Nannya Y, et al. Molecular International Prognostic Scoring System for Myelodysplastic Syndromes. NEJM Evidence. 2022;1(7):EVIDoa2200008.(原典未見) PMID: 38319256、DOI: 10.1056/EVIDoa2200008[原著]
  2. 原著者(Papaemmelab グループ)が公開している R パッケージ ipssm: Molecular International Prognostic Scoring System IPSS-M for Myelodysplastic Syndromes(MIT ライセンス).(IPSSMmain の既定値(betaValues・meanValues・risk.cutpoints・risk.cat)・IPSSMmain.R(IPSSMmodel・cut)・IPSSMprocess.R(HB1・BLAST5・TRANSF_PLT100・CYTOVEC・TP53multi・SF3B1_5q・SF3B1_alpha)・calculateNres2) https://github.com/papaemmelab/ipssm[解説・総説]
  3. 骨髄異形成症候群診療の参照ガイド 令和7年改訂版(令和8年2月). 骨髄異形成症候群の診断基準と診療の参照ガイド改訂版作成のためのワーキンググループ(責任者 宮﨑泰司). 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業 特発性造血障害に関する調査研究班.(第5章(予後)3) Molecular IPSS (IPSS-M)(pp.47-48)、表23) https://zoketsushogaihan.com/file/Myelodysplastic_syndrome_2025.pdf[ガイドライン]
  4. 血小板の単位: 画面は万/μL。モデルの変数はもとの 10⁹/L の値を 100 で割ったもの。1万/μL = 10×10³/μL = 10×10⁹/L なので、画面の値を 10 倍して 10⁹/L にしてから上限 250 で収め、100 で割る[式の導き方]

確認日: 2026-10-16

免責

この計算は医療者の判断を補助するためのものです。結果は参考情報であり、診断・治療の判断は担当の医療者が行ってください。入力した値は端末の外に送りません。