肺非結核性抗酸菌症(NTM)の診断基準(2024年改訂)
胸部CTの所見とほかの疾患の除外(臨床的基準)に、培養などの細菌学的基準を合わせて診断する。2024年改訂で暫定的診断基準が加わった
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基準
- 臨床的基準 1: 胸部CTで該当する所見がある
- 臨床的基準 2: ほかの疾患を除外できる
- 細菌学的基準 1: 別々の喀痰検体2回以上で培養陽性
- 細菌学的基準 2: 気管支洗浄液または肺胞洗浄液で1回以上培養陽性
- 細菌学的基準 3: 病理所見が合致し、組織または喀痰で1回培養陽性
- 暫定的診断基準 1: 肺MAC症の初回診断で、喀痰1回の培養陽性かつ抗GPL-core IgA抗体陽性
- 暫定的診断基準 2: 胃液で培養陽性で、喀痰で1回以上培養陽性
注意
- 細菌学的検査で菌が検出されなければ、典型的な画像所見だけでも、画像所見と抗GPL-core IgA抗体の陽性だけでも診断できない。結核との鑑別に注意する。抗GPL-core IgA抗体が陰性でも、肺MAC症の診断を除外できない
- 診断基準を満たしても、治療が必要か、いつ始めるかは症例ごとに考える
- 暫定的診断基準は日本の基準で、国際ガイドラインでは認められていない。抗GPL-core IgA抗体や胃液を使う診断は、喀痰を得ることが難しい状況に限る。満たした後も検体採取を続け、国際ガイドラインの診断基準を満たすように努める
- 抗GPL-core IgA抗体は、肺MAC症の診断で感度 70%・特異度 91%(カットオフ値 0.7 U/mL)とするメタ解析がある。臨床的基準を満たし、喀痰培養が1回以上陽性の例では、肺MAC症の診断での陽性的中率が 97.4% と報告されている。MAC と似た構造の成分をもつ迅速発育菌(M. abscessus species、M. fortuitum、M. chelonae など)でも陽性になりうるので、抗体で暫定的に診断した肺MAC症では、これらの菌種による感染の可能性に留意する
- 培養が複数回陽性のときは、原則として、陽性の検体それぞれで菌種を同定し、同一の菌種(亜種)であることを確認する
- 弱毒菌とされる菌種や環境から高頻度に分離される菌種(M. gordonae、M. chelonae など)は、2回以上の喀痰培養が陽性でも疾患を有することは稀で、適宜、専門家に見解を求める
- 核酸増幅法の感度は培養法より低く、核酸増幅法の陽性は、培養陽性に相当する可能性があるが、培養が陰性になる場合もあり、その妥当性は検証が要るとされている。この計算では核酸増幅法の結果を入力としていない
- 国際ガイドライン(2020年)は、臨床的基準で「臨床症状あり」を必須とするが、日本の基準は、症状がなく胸部CTと培養で基準を満たす例もあるため、これを必須としない
- 2008年の指針からの変更: 胸部画像は胸部CT(HRCTが望ましい)を使う。細菌学的基準の洗浄液に肺胞洗浄液が加わった。病理所見が合致するときの培養陽性は、組織または喀痰の検体で数える(2008年は気管支洗浄液も数えた)。暫定的診断基準が加わった
出典
- 日本結核・非結核性抗酸菌症学会 非結核性抗酸菌症対策委員会, 日本呼吸器学会 感染症・結核学術部会. 肺非結核性抗酸菌症診断に関する指針─2024年改訂. 結核. 2024;99(7):267-270.(表1・表2、注記) https://www.kekkaku.gr.jp/pub/pdf/Guidelines_for_the_Diagnosis_of_Non-tuberculous_Mycobacterial_Antimycosis_2024_rev.pdf[ガイドライン]
- 日本結核病学会 非結核性抗酸菌症対策委員会, 日本呼吸器学会 感染症・結核学術部会. 肺非結核性抗酸菌症診断に関する指針─2008年. 結核. 2008;83(7):525-526.(表1・注記) https://www.kekkaku.gr.jp/commit/ntm/200804sisin.pdf[ガイドライン]
確認日: 2026-10-15
免責
この計算は医療者の判断を補助するためのものです。結果は参考情報であり、診断・治療の判断は担当の医療者が行ってください。入力した値は端末の外に送りません。