PECARN 小児腹部外傷ルール
小児の鈍的体幹外傷で、急な処置を要する腹腔内損傷のリスクが非常に低いかを7因子で見る
あと 7 項目
基準
- 腹壁の外傷の所見(シートベルト痕を含む)
- GCS 14点未満
- 腹部の圧痛
- 胸壁の外傷の所見
- 腹痛の訴え
- 呼吸音の減弱
- 受傷後の嘔吐
注意
- 対象は、鈍的な体幹外傷で救急外来を受診した18歳未満の小児。原著の導出は20の救急外来で登録した12,044人(年齢の中央値 11.1歳)。穿通性外傷、受傷から24時間を超えた例、転院前に CT か MRI を受けた例、妊娠、診察を妨げる既存の神経疾患、虐待が強く疑われる例は、2024年の検証の除外条件
- この規則の目的は、急な処置を要した腹腔内損傷(治療的開腹・血管造影での塞栓・腹腔内出血への輸血・膵臓か消化管の損傷に対する2晩以上の点滴)を見逃さない子を見分けること。腹腔内損傷のすべてを除外する規則ではない。2025年の14施設の外部検証(16歳未満 2,188人。Frederick ら)では、処置を要した損傷で感度 96.8%(62人中 60人)・陰性的中率 99.8%、処置を要しないものを含むすべての腹腔内損傷では感度 86.6%(261人中 227人)・陰性的中率 96.5%で、見逃しが最も多かったのは肝裂傷(22人)だった
- 感度は研究で異なる。原著の導出は 97%(203人中 197人。95%信頼区間 94〜99%)、2024年の前向きの検証は 100%(145人中 145人。95%信頼区間 98.0〜100.0%)、2025年の外部検証は 96.8%。いずれも「急な処置を要した腹腔内損傷」についての値
- 2024年の前向きの検証(Table 2)では、陽性の陽性的中率は 3.6%(4,054人中 145人)だった。特異度は、原著の導出では 42.5%(95%信頼区間 41.6〜43.4%)、2024年の検証では 47.2%(95%信頼区間 46.0〜48.3%)だった。陰性(7因子が全部無い)の陰性的中率は、原著の導出で 99.9%(5,034人中 5,028人。95%信頼区間 99.7〜100%)、2024年の前向きの検証では 100%(3,488人中 3,488人。95%信頼区間 99.9〜100%)だった
- 原著は、導出した規則に外部での検証が必要としていた(2013年)。診察所見だけの規則で、検査(血液・超音波・画像)の結果は使わない
- 陽性は「非常に低リスクの群ではない」という意味で、腹腔内損傷の診断ではない。2025年の外部検証の著者は、処置を要しない損傷も含めて非常に低リスクを見分けるには、救急室での血液検査と胸部 X 線を加えることを勧めた
- 2024年の検証(Panel 1)の対象は、次のどれかに当たる18歳未満: 重い機転の鈍的体幹外傷(96 km/h を超える自動車事故、車外への放出、横転、40 km/h を超える自動車と歩行者か自転車の事故、6 m を超える転落、体幹の圧挫、腹部への暴行)、鈍的体幹外傷で GCS が15点未満、鈍的外傷で四肢の麻痺か多発長管骨折がある、鈍的体幹外傷のあとで病歴と診察から腹腔内損傷が疑われる
- 腹壁の所見は、原著(2013年)の因子名が「腹壁の外傷、またはシートベルト痕」。胸壁の所見も、発赤・擦過傷・皮下出血・皮下気腫・裂創などの外傷の所見を指す(2024年の検証の項目の例による)
出典
- Holmes JF, Lillis K, Monroe D, et al; Pediatric Emergency Care Applied Research Network (PECARN). Identifying children at very low risk of clinically important blunt abdominal injuries. Ann Emerg Med. 2013;62(2):107-116.e2.(抄録) PMID: 23375510、DOI: 10.1016/j.annemergmed.2012.11.009[原著]
- Holmes JF, Yen K, Ugalde IT, et al. PECARN prediction rules for CT imaging of children presenting to the emergency department with blunt abdominal or minor head trauma: a multicentre prospective validation study. Lancet Child Adolesc Health. 2024;8(5):339-347.(Panel 1、Panel 2、Table 2) PMID: 38609287、DOI: 10.1016/S2352-4642(24)00029-4、https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC13525905/[原著]
- Frederick AB, Vogel AM, Williams RF, et al. Multicenter external validation of the Pediatric Emergency Care Applied Research Network rule to identify children at very low risk for intra-abdominal injury requiring acute intervention. J Trauma Acute Care Surg. 2025;98(6):966-972.(抄録) PMID: 40170217、DOI: 10.1097/TA.0000000000004597[解説・総説]
確認日: 2026-10-13
免責
この計算は医療者の判断を補助するためのものです。結果は参考情報であり、診断・治療の判断は担当の医療者が行ってください。入力した値は端末の外に送りません。