PERC ルール(肺塞栓症除外基準)
肺塞栓症を疑う患者で、臨床的確率が低いときに追加検査を省けるかを8項目で見る
あと 9 項目
基準
- 前提: 臨床医の見立てで肺塞栓症の可能性が低い(15% 未満)
- 年齢が 50歳以上
- 脈拍が 100回/分以上
- 室内気の SpO2 が 95% 未満
- 血痰・喀血がある
- 外因性エストロゲンを使っている
- 静脈血栓塞栓症の既往がある
- 4週間以内に、気管挿管か入院を要した手術・外傷がある
- 片側の下肢の腫れがある
注意
- 使えるのは、臨床医の見立て(事前確率)が低い患者だけ。原著(2008年)は、見立てが 15% 未満で PERC が陰性の群を「非常に低リスク」と呼び、この組み合わせで追加検査を省く対象にした。この画面は最初に見立てを聞き、「いいえ」なら8項目の結果を出さず対象外とする。見立てが低くない患者では、PERC が陰性でも検査を省く根拠にならない
- 原著の対象は、救急外来で肺塞栓症の検査(画像検査か D-dimer)が指示された外来患者。静脈の超音波検査だけを指示した患者は、2008年の研究に登録していない
- 2018年のランダム化比較試験(PROPER。フランスの救急外来14施設、1,916人、平均年齢 44歳)は、見立てが低い患者で、PERC の8項目がすべて陰性なら追加検査をせずに肺塞栓症を除外する方法が、通常の方法に対して3か月後の見逃しの割合で劣らない(非劣性、許容差 1.5%)とした。PERC 群の3か月以内の診断漏れは 1人(0.1%)だった
- 8項目の言葉は研究で少し違う。2004年の導出は「ホルモン使用」「SaO2 が 94% を超える」、2008年の検証は「外因性エストロゲン」「SaO2 が 95% 以上」と書く(SpO2 は整数で測るので同じ範囲)。この画面は2008年の言葉に合わせた
- 原著(2008年)は非介入の観察研究で、臨床医は PERC を検査の代わりに使っていない(実際の安全性は完全には言えない)。著者は、救急外来の肺塞栓症の有病率が研究より高い施設では、この方法が安全に除外できないかもしれないとし、導入の前に、見立てが 15% 未満かつ PERC 陰性の群の事後確率が十分低い(例: 1% 未満)ことを、観察研究で確かめるよう勧める
- PERC は特異度が低い(2004年の導出の検証で、低リスク群 27%・非常に低リスク群 15%)。陽性の患者が多く、陽性は肺塞栓症の診断にならない
- 原著の2008年の検証(8,138人)では、見立てを問わず8項目すべてが陰性だったのは 1,952人(24%)だった
出典
- Kline JA, Mitchell AM, Kabrhel C, Richman PB, Courtney DM. Clinical criteria to prevent unnecessary diagnostic testing in emergency department patients with suspected pulmonary embolism. J Thromb Haemost. 2004;2(8):1247-1255.(抄録) PMID: 15304025、DOI: 10.1111/j.1538-7836.2004.00790.x[原著]
- Kline JA, Courtney DM, Kabrhel C, et al. Prospective multicenter evaluation of the pulmonary embolism rule-out criteria. J Thromb Haemost. 2008;6(5):772-780.(本文の8つの質問(p.773)、Table 5) DOI: 10.1111/j.1538-7836.2008.02944.x[原著]
- Freund Y, Cachanado M, Aubry A, et al. Effect of the Pulmonary Embolism Rule-Out Criteria on Subsequent Thromboembolic Events Among Low-Risk Emergency Department Patients: The PROPER Randomized Clinical Trial. JAMA. 2018;319(6):559-566.(抄録) PMID: 29450523、DOI: 10.1001/jama.2017.21904[原著]
確認日: 2026-10-13
免責
この計算は医療者の判断を補助するためのものです。結果は参考情報であり、診断・治療の判断は担当の医療者が行ってください。入力した値は端末の外に送りません。