臨床計算ツール

妊娠用 YEARS アルゴリズム(肺塞栓症)

妊娠中に肺塞栓症が疑われる患者の、3項目・圧迫超音波検査・D-ダイマーでの除外の判定

あと 4 項目

深部静脈血栓症(DVT)の臨床徴候と、下肢の圧迫超音波検査

DVT の徴候があるときは、症状のある脚の圧迫超音波検査の状況も選ぶ

喀血がある

少量の血を咳で出す、または痰に血が筋状に混じる

肺塞栓症が最も可能性の高い診断である

病歴と診察から、ほかのどの診断より肺塞栓症が考えやすいか

0〜20
µg/mL FEU

µg/mL で入れる。ng/mL で報告される施設は 1000 で割った値を入れる(例: 500 ng/mL なら 0.5)。圧迫超音波検査で血栓ありのとき、または検査がまだのときは、判定には使わないが入力は必要

計算式

  • 圧迫超音波検査 = DVT の徴候がある場合に症状のある脚で行い、血栓が確認されたら PE と診断されたとみなして、ほかの画像検査は行わない。徴候がない、または検査が陰性なら、続きのアルゴリズムへ進む
  • D-ダイマーの閾値 = 3項目(DVT の臨床徴候・喀血・PE が最も可能性の高い診断)が1つもなければ 1 µg/mL、1つ以上あれば 0.5 µg/mL(原著の 1000 ng/mL、500 ng/mL を 1000 で割った値)。DVT の徴候は、圧迫超音波検査で血栓が無くても1項目に数える
  • 判定 = D-ダイマーが閾値未満なら PE を除外、閾値以上なら CTPA

注意

  • 原著の対象は、18歳以上で、胸痛または呼吸困難が新しく出たか悪化し、救急または産科病棟に紹介された妊婦(喀血や頻脈を伴うことも含む)。除外は、治療量の抗凝固薬を24時間以上前に始めた人、追跡できない人、造影剤アレルギーのある人、余命3か月以下の人
  • 510人のうち12人(2.4%)が研究の対象から外れ、498人が参加した。ベースラインで PE と診断されたのは498人のうち20人(4.0%)で、圧迫超音波検査で血栓が確認された4人を含む
  • 圧迫超音波検査は、症状のある脚の膝窩と鼠径の2点で行った。DVT の徴候があった47人のうち43人が受け、3人で血栓が確認された
  • D-ダイマーは自動の高感度な定量検査(5種類)で ng/mL(画面は日本の慣用の µg/mL で、1000 で割った値)で測り、3項目の評価と並行して測った。そのため医師が結果を知ったうえで項目を判断した場合がある
  • D-ダイマーが閾値以上だった299人のうち、CTPA を受けたのは273人、換気血流シンチは2人で、24人は受けなかった(手順違反)。PE が確認されたのは16人(5.4%)
  • 原著の効率は、血栓が確認されなかった494人のうち、CTPA が不要と判定されたのが195人(39%、95%CI 35〜44%)。妊娠の時期で差があり、初期に開始した人で65%(48/74)、後期に開始した人で32%(74/231)
  • 上の195人のうち12人は、手順に反して CTPA を受けた(PE は無し)
  • 原著の3か月の追跡では、ベースラインで PE が否定され(CTPA で否定された人を含む)無治療のまま追跡を終えた477人のうち、VTE は1人(膝窩静脈の DVT。0.21%、95%CI 0.04〜1.2%)、PE は0人
  • アルゴリズムで CTPA が不要と判定された195人に限ると、3か月の追跡で VTE は1/195(0.51%、95%CI 0.09〜2.9%)。この1人は3項目がなく D-ダイマー 480 ng/mL(0.48 µg/mL)で、CTPA を受けていなかった
  • 著者は、すべての妊娠の時期で PE を安全に除外できたと結論している。ランダム化していない研究で、手順違反もあったと著者が限界に挙げている
  • 妊娠していない患者は「YEARS アルゴリズム(肺塞栓症)」を使う。この画面は妊娠中の患者の形

出典

  1. van der Pol LM, Tromeur C, Bistervels IM, et al.; Artemis Study Investigators. Pregnancy-adapted YEARS algorithm for diagnosis of suspected pulmonary embolism. N Engl J Med. 2019;380(12):1139-1149.(抄録) PMID: 30893534、DOI: 10.1056/NEJMoa1813865[原著]
  2. Bistervels IM. Venous thromboembolism in pregnancy: prevention, diagnosis and long-term outcomes [Thesis]. Universiteit van Amsterdam; 2023. Chapter 7 (Artemis 研究の論文の再録).(第7章 Methods・Results・表7.1〜7.3・Discussion(p.186-199)) https://pure.uva.nl/ws/files/127363805/Thesis.pdf[解説・総説]

確認日: 2026-10-14

免責

この計算は医療者の判断を補助するためのものです。結果は参考情報であり、診断・治療の判断は担当の医療者が行ってください。入力した値は端末の外に送りません。