PSI / PORT スコア(肺炎重症度指数)
市中肺炎の成人の30日死亡のリスクを、病歴・診察・検査値で5つのクラスに分ける(Fine ら 1997)
ステップ1(病歴と診察)で当てはまる項目の数 あと 11 項目
ステップ2の点数 あと 20 項目
リスククラス(1〜5 が I〜V) あと 20 項目
計算式
- ステップ1(病歴と診察だけ): 年齢が 50 歳を超える・がん・心不全・脳血管疾患・腎疾患・肝疾患・意識の変容・脈拍 125 回/分以上・呼吸数 30 回/分以上・収縮期血圧 90 mmHg 未満・体温 35 ℃ 未満または 40 ℃ 以上、の11項目のどれにも当てはまらなければクラス I(点数は使わない)
- ステップ2(ステップ1で1つでも当てはまった人): 点数 = 年齢(女性は年齢 − 10)+ 施設入所 10 + がん 30 + 肝疾患 20 + 心不全 10 + 脳血管疾患 10 + 腎疾患 10 + 意識の変容 20 + 呼吸数 30 回/分以上 20 + 収縮期血圧 90 mmHg 未満 20 + 体温 35 ℃ 未満または 40 ℃ 以上 15 + 脈拍 125 回/分以上 10 + 動脈血 pH 7.35 未満 30 + BUN 30 mg/dL 以上 20 + Na 130 mEq/L 未満 20 + 血糖 250 mg/dL 以上 10 + ヘマトクリット 30% 未満 10 + PaO2 60 Torr 未満(または SpO2 90% 未満)10 + 胸水 10
- クラス: 70 点以下 II、71〜90 点 III、91〜130 点 IV、130 点を超えると V
注意
- 対象は市中肺炎の成人。原著は、米国・カナダの 275 病院の入院患者(導出 14,199人・検証 38,039人)と、Pneumonia PORT の前向きコホート 2,287人(入院と外来)で導出・検証した。死亡は30日以内
- クラスの付け方は2段階。ステップ1の11項目のどれにも当てはまらない人はクラス I で、検査値は要らない(「ステップ1」の欄に出る)。1つでも当てはまる人は、点数でクラス II〜V に分ける。この画面の「リスククラス」は検査値を全部入れたときに出るので、検査値が無いままクラス I かを見るには「ステップ1」を見る
- 原著の考察は、クラス I〜III を、外来治療や短い入院を考えうる低リスクの群とした(クラス I の患者は外来治療の候補、II と III の多くも候補になりうる)。クラス IV・V は点数が高く、原著の案でも通常の入院治療の側。ただし著者は、この規則を診療に使うには前向きの試験で効果と安全性を確かめる必要があるとしている
- 低リスクのクラスでも、外来での治療が難しいことがある(嘔吐で内服できない、静注薬物の使用・アルコール依存・治療を確実に受けられない患者・重い精神疾患、認知機能の低下で日常生活が自立していない、社会的な支えが乏しいなど)。重い神経筋疾患や免疫抑制は予測の項目に入っておらず、規則は医師の判断に置き換わらない。項目を「あり・なし」の2つにしているので、若く健康な人の著しい低血圧と頻脈がクラス II になるような単純化も起こる
- 原著の考察は、さらに安全を見る案として、クラス I〜III でも、室内気で SpO2 90% 未満または PaO2 60 mm Hg 未満の低酸素血症がある人は入院にする方法を挙げている
- 酸素化の項目: 原著の表 2 は PaO2 60 mm Hg 未満。表の注は、Pneumonia PORT コホートでは SpO2 90% 未満か入院前の挿管も異常としたと書く。この画面は「PaO2 60 Torr 未満または SpO2 90% 未満」を1つの「はい・いいえ」にして 10 点とし、入院前の挿管の入力は無い。動脈血 pH も「7.35 未満か」の「はい・いいえ」にした
- 原著の表 1 の注は、MedisGroups の導出・検証の集団では、欠測の患者と正常の患者を区別できなかったと書く(その表の割合は、所見のある人数を集団の全人数で割った値)
- 日本呼吸器学会の成人肺炎診療ガイドライン2024 は、PSI を信頼性が高いが項目が多く煩雑とし、市中肺炎の重症度評価には A-DROP を弱く推奨している(CQ01)。短期死亡を予測する力は、A-DROP・CURB-65・PSI でほぼ同等と評価している
出典
- Fine MJ, Auble TE, Yealy DM, Hanusa BH, Weissfeld LA, Singer DE, Coley CM, Marrie TJ, Kapoor WN. A prediction rule to identify low-risk patients with community-acquired pneumonia. N Engl J Med. 1997;336(4):243-250.(Table 1 の注(p.245)、Figure 1(p.246)、Table 2(p.247)、Table 3(p.248)、考察(p.248〜249)) PMID: 8995086、DOI: 10.1056/NEJM199701233360402、https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJM199701233360402[原著]
- 日本呼吸器学会 成人肺炎診療ガイドライン2024作成委員会編. 成人肺炎診療ガイドライン2024. 日本呼吸器学会; 2024.(SCOPE 市中肺炎(p.28)、CQ01(p.84〜85)) https://www.jrs.or.jp/publication/file/adult_pneumonia_2024v5.pdf[ガイドライン]
確認日: 2026-10-15
免責
この計算は医療者の判断を補助するためのものです。結果は参考情報であり、診断・治療の判断は担当の医療者が行ってください。入力した値は端末の外に送りません。